法人税

収用等に伴い代替資産を取得した場合の圧縮記帳

所有資産(棚卸資産を除く。)が次に掲げる場合に該当することとなった場合において、収用等のあった日を含む事業年度においてその対価として取得した補償金(いわゆる対価補償金)をもって収用等により譲渡した資産と同種若しくは同効用の資産を取得(所有権移転外リース取引による取得を除き、製作及び建設を含む。以下同じ。)したときは、その代替取得資産について、収用等された資産の譲渡差益に対応する金額の範囲内で、その帳簿価額を減額して損金算入する経理(圧縮記帳)が認められる(措法64①)。

 

1 特例が認められる場合

(1) 資産が土地収用法等の規定に基づいて収用され、補償金を取得する場合

(2) 資産の買取りの申出を拒んだときは、土地収用法等の規定に基づいて資産が収用されることとなる場合において、資産が買い取られ対価を取得するとき

(3) 土地等につき土地区画整理法による土地区画整理事業等が施行された場合において、換地処分により清算金(換地又は権利の目的となるべき土地若しくはその部分が定められなかったことにより支払われる清算金を除く。)を取得するとき(土地区画整理事業の施行に伴い、その区画整理会社の株主又は社員である者が、その有する土地等につきその土地等に係る換地処分により一定の清算金を取得する場合を除く。)

(4) 資産につき都市再開発法による第一種市街地再開発事業が施行された場合において、その資産に係る権利変換により補償金を取得するとき

(5) 資産につき防災街区整備事業が施行された場合において、明渡しに伴う一定の損失補償金を取得したとき又はその資産に係る権利変換により過小床不交付によって防災施設建築物の一部等が与えられないこと等に伴い一定の補償金を取得したとき若しくは防災施設建築物の一部等が与えられたとき等に交付される清算金を取得するとき

(6) 土地等が都市計画法等に規定する買取請求に基づいて買い取られ、対価を取得する場合

(7) 土地区画整理事業で減価補償金を交付すべきこととなるものが施行される場合において、公共施設の用地に充てるべきものとしてその事業の施行区域内の土地等が買い取られ、対価を取得するとき

(8) 国、地方公共団体、独立行政法人都市再生機構又は地方住宅供給公社が賃貸し、又は譲渡する目的で行う50戸以上の一団地の住宅経営に係る事業の用に供するため土地等が買い取られ、対価を取得する場合

(9) 資産が土地収用法等の規定により収用された場合において、その資産に関する所有権以外の権利が消滅し、補償金又は対価を取得するとき

(10) 資産に関して有する権利で、都市再開発法に規定する権利変換により新たな権利に変換することのないもの(地役権等)が消滅したことにより、補償金を取得する場合

(11) 密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律に規定する権利変換により新たな権利に変換をすることのないものが、権利変換期日においてその権利が消滅し、その権利に対応して、防災施設建築敷地の一部等についての借家権を与えられないものに対して補償金を取得する場合

(12) 国、地方公共団体又は公共事業の施行者が行う公有水面埋立法に基づく埋立並びにその事業に伴う漁業権、入漁権その他水の利用に関する権利又は鉱業権等の消滅により、補償金又は対価を取得する場合

(13) (1)から(12)までのほか、国又は地方公共団体が建築基準法、漁業法その他の法令の規定に基づく処分に伴う資産の買取り若しくは消滅(価値の減少を含む。)により、補償金又は対価を取得する場合

(14) 土地等が土地収用法等の規定に基づいて使用され補償金を取得する場合で、その使用に伴い土地等の価額がその使用直前の価額の2分の1以下に低下したとき(措法64②、措令39⑮)

(15) 土地等が収用、買取り、使用されたことに伴い、その上物を収用し、若しくは取り壊し又は除去しなければならなくなった場合に、その対価として補償金を取得するとき(措法64②、措令39⑯)

 

2 圧縮できる譲渡差益の額

圧縮記帳により損金経理をすることができる金額の限度は、次のとおりである(措法64①)。

  • 対価補償金の額のうち代替資産の取得に充てた金額×
  • 〔(対価補償金の額-譲渡資産の譲渡直前の帳簿価額)/対価補償金の額〕

その資産の譲渡に要した経費があるときは、その額を控除した後の金額が対価補償金の額となる。

この結果、圧縮記帳をした代替資産の帳簿価額は、次のようになる。

代替資産の取得価額-圧縮限度額の範囲内で圧縮記帳した金額

 

3 特別勘定による経理

収用等に伴い代替資産を収用等のあった日を含む事業年度の翌事業年度開始の日から収用等のあった日以後2年を経過するまでの期間(取得指定期間)内に、補償金等の全部又は一部に相当する金額で代替資産を取得する見込みである場合には、代替資産の取得に充てようとする金額を基礎として、2の算式に準じて計算した金額以下の金額を、特別勘定を設ける方法により損金算入する経理が認められる(措法64の2①)。

 

4 資産を取得した場合の圧縮記帳

特別勘定を設けている法人が、その後代替資産を取得した場合には、圧縮記帳が認められ、取得価額と記帳価額の差額は損金に算入されるが、一方特別勘定として経理した金額のうち、圧縮記帳による損金算入額と同額が代替資産を取得した事業年度の益金に算入される(措法64の2⑦、⑨)。

 

5 非適格株式交換等を行った場合の特別勘定の益金算入

収用等に伴い特別勘定を設けている法人が、自己を株式交換完全子法人又は株式移転完全子法人とする非適格株式交換等を行った場合に、その直前における特別勘定の金額は、益金の額に算入する(措法64の2⑪)。ただし、特別勘定の金額が1,000万円未満である場合には、この措置は適用されない(措法64の2⑪、措令39条27項)。

6 代替資産を取得しない場合の課税と特別控除

特別勘定を設けている法人が、指定期間内に代替資産を取得しなかった場合には、特別勘定の金額はその指定期間の末日を含む事業年度に取り崩して益金に算入しなければならない。この場合、収用等による資産の譲渡が後に述べる特別控除の適用を受けるすべての要件に該当しており、その収用等によって代替資産を取得せず圧縮記帳の適用を受けなかった場合には、特別勘定の金額のうち5,000万円までの金額は、損金に算入することができる(措法65の2⑦)。

 

7 収用等の場合の圧縮記帳の特例と特別控除との関係

圧縮記帳の特例と5,000万円特別控除との適用関係は次のとおりである(措通65の2-1)。

本サイト掲載の情報は平成25年4月1日現在の法令等に基づいて更新された情報です。

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